しんこきゅう

2011年12月30日 / しんこきゅう

金髪美女の正体

 

タイ・プーケットのお話し、続きです。
この島で最も賑やかなのがパトンビーチ。
その少し南のカロンビーチというところが、今回の旅の拠点となりました。
砂浜はとてもきれいで、裸足で歩くと砂がキュッキュッと鳴る。
透けるようなベージュ色をした小さなカニが、砂の穴から出てきてサササッと動き回る。追い掛けるとサササッと穴に入ってしまう。

さてこの浜を、海沿いのレストランを、ホテルのプールを席巻しているのは、日本人でも中国人でもない。ロシア人というのがびっくり。

色白でふくよかな白人金髪女性、ちょっと目鼻が顔の中心部に集まった感じの白人男性。
耳をすますとロシア語らしき言葉が・・・。

スーツケースに放り込んできたのは、たまたま本屋で手にしたトム・ロブ・スミスの「チャイルド44」。
スターリン体制下のソ連が舞台で、主人公は国家保安省の敏腕捜査官。彼が副官の計略にはまり、片田舎へ追放され、そこで連続殺人事件を追い掛けるというもの。
この時代の空気感すごくリアル。無実の人をスパイ罪で告発し、拷問にかけたり、偽りの調書にサインさせたり。
恐怖に支配されている社会。
人々は生き延びるために、ウソもつくし、密告もする。下手に人助けはできない。

砂浜で本を開き“ソ連ワールド”にどっぷりつかる。ふと目を上げると、ビキニ姿のロシア女性がビーチチェアに横たわっている・・・。
ショッキングピンクにゴールドです、ビキニ。

小僧さんは、拾った貝殻を白人の男の子に「はいどうぞ」したら「スパシーバ」と返ってきた! 

ああこれは、ロシアの人々が“戦後”をむかえたのだと、大げさながら思ってしまう。
言葉も行動も制約され、どうすれば生き延びることができるのかを考えて生きてきた人たち。
ソ連崩壊から20年。今、彼らがプーケットのビーチで人生を謳歌しているのです。カップルも、子連れの家族も、ご老人も。

現地のガイドさんに聞いてみると「今年は本当にロシア人が多い」。ロシアからの直行便もあって、PEGUSという旅行会社が何から何まで面倒みてくれるのだそうです。

ハラショー!
プーケットの太陽をいっぱい浴びてくだいませ。