「ユータロー!」
呼ばれても知らんぷり。
何度呼んでも、聞こえないふりで遠くを見ている小僧さん。
保護者会で話してみると園長先生はニヤリとしました。
「聴きたくないんでしょうね。彼は今、頭がパンパンですよ。詰め込みすぎたね」。
わが家は本当に旅行が多くて、園長先生はそこが気になるようです。
「私は、子どもが小さかった頃は旅行先を二つ三つに決めて、毎年同じ場所に行っていましたよ。ホームグラウンドを少し増やすという感じでしたね」。
うーん難しい。元々旅好きな夫婦だし、私の職業柄もあるかな?
「行く場所を限定できなくても、例えば旅先での遊びのパターンは一定にしてあげるなど、工夫してみたらどうでしょう?」
なるほどー。
でも、待てよ。と考えてみました。
旅行のせいかな?
違うかも。
このごろ私、小僧さんと一緒にいると、もう一度子ども時代を過ごしているような感じがしています。
道端の小さな草花から季節の移ろいを感じたり、空を見上げてみたり。
だから、ついつい感動を横取りしていたのかも。
「あ!オタマジャクシに足が生えてる!」
「あ!お地蔵さんだ!」
「あ!タンポポの綿毛!」
しかも。
歌や絵本に出てくるものを見つけては「ほら見て」って何度言ったことでしょう。
園長先生より。
「2歳から3歳になる時期は分かれ目です。大人に近づくか、子ども時代を謳歌できるか?この年齢は要求すれば何でもできてしまう。知識を詰め込むこともできてしまう。そうすると『コオトナ』ができあがりますよね。そうではなく、今この状態をどう楽しんでいるのか、見守れる親になってほしいんです」。
ママの小さな感動は胸の中に。
小僧さんが発見したり喜んだときに、一緒に喜べるように、その時のためにとっておこう。
自然の中のものごとも、言葉で教えなくていいのだな。