日々の泡

2012年11月3日 / 日々の泡

天使のはなし

ぜんそく持ちのお兄ちゃんは繊細で、身体の丈夫な弟はおおらか。

たぶん兄はB型(母と同じ)で、弟はO型(父と同じ)だろう、とか、親も勝手なことを考えるものですが、その子はその子の個性を持って生まれてくるものですね。

同じ親から生まれ、同じご飯を食べて、同じ環境で子犬のようにじゃれあう仲のよい兄弟でも持っているものは全く違う。

次男は赤ちゃんのときからニコニコの笑顔がすてきな男の子です。

愛想のない母に育てられてるのにどうしてだろう、なんてトンチンカンなことを思うくらいのニコニコ。

でも、保育園に行きだしたら、案外、ニコニコの影で我慢してることも多いことがわかりました。

内弁慶っていうのかな。

思ったより神経質で、きれいなもの、優しいものが好き。だから怒られたり、優しくないことされると、人一倍強く受け止めてしまう。

ニコニコの反面、悲しみと怒りのエネルギーも強い。

東京から高知へ引っ越してきたとき、次男は2歳から3歳になるころ。まだ時間も距離も分からない。言語化もできない。

でも、母の気持ちは痛いほどダイレクトに伝わるし、優しくて悲しみに敏感。そんな彼は母子生活の半年間、毎日20分の駄々と絶叫を続けました。

 

父ちゃんもやってきて、家族が揃って生活を始め、自身も成長するにつれ、ずいぶん落ち着いて話も上手になって、最近は即興のオリジナルソングもよくうたってくれます。

でもまだ不思議ワールドと強くつながっている赤ちゃんと子どもの狭間なとき。ときどき面白いことをいう。

 

「トウキョウっていいなあ」「どうして?」「だってさ、トウキョウには森も山も川もないもん」「ないといいんだ?」「うん」

 

「かあちゃん、トウキョウのはじっこにも森、あったよね」「うん、はじっこにあったね」

「トウキョウの森とコウチの森はいっしょだから、トウキョウとコウチはいっしょだね」「うん、そうかもね。いっしょかもね。」

 

ニコニコ次男は、寝る前、怒りモードによくなります。「かあちゃん大好き」な歌をうたい、すぐキッスしてくれる天使が、「かあちゃんのお腹蹴る!」とか言って、眠くなるわけがわからない魔のひととき、悲しみと怒りを放出します。

そんなときは、母も辛抱がきかないので表面的に怒って、次男が泣いて、よしよしして、仲直りして眠る…というのをいつも繰り返していたのですが、ある夜、母ちゃんも悲しくなって聞いてみました。

実は、次男を妊娠したとき、長男の育休を終え仕事復帰してから一年経ったころで、身体も心も疲労困憊していました。

結果、次男の妊娠が仕事を辞めるきっかけになって、その後は幸せな妊娠出産を迎えたために忘れていた、その冷たい疲れた感じを思い出しました。

「母ちゃんのお腹にきたとき悲しかったの?」

そしたら次男が「ぎゃおー!!!」って泣いた。だから謝った。でも母ちゃんのお腹にきてくれたこと、元気に生まれてくれたこと、ありがとうって伝えた。そしたら彼は許してくれた。

そして、落ち着いてからいろいろお話してくれた。それはなんと母ちゃんのお腹にくる前の話。

お空で天使だったそうで、お空には、子どもがたくさん遊んでいて、大人もいて、「あわせる」そうです。

「とうちゃん、かあちゃん、かい、こうもあわせた」んだそうです。

「ぼくは、羽根がとれて、人間になって、こんなにお話ができるようになった。」

「母ちゃんはがんばったから、金メダルをあげる」んだそうです。

 

その言葉で、もう親として彼からもらうものは全部もらってしまったかも。

そのニコニコは、お母さんに好かれるためのものなんだね。

 

子どもはリアルな天使。

いつか聞いたことがあります。子どもは親を赦すために生まれてくるそうです。

本当にその通りだと思った夜でした。