私がこどもの頃に行ったお祭りには、
屋台と盆踊り、あってお囃子、
という感じだったかと思います。
でも宮崎の祭りには(すべてではないですが)
だいたい怖い顔の何かがいます。
神楽面なんてその最たるもの。
まるで鬼の形相なのに神様だって言うし、
なかには悪戯好きの神様もいて
観客の方に迫ってくることもあります。
慣れないこどもたちは大パニック!
夜神楽だったら一晩中、
暗闇のなかで鬼(神様だけど)の顔が
舞うのを見なきゃいけません。
我が家が住む町のお祭りには
獅子舞が大量に出現します。
通り過ぎたと思ったらまた他のが来たり、
あっちにいると思ったらすぐ隣にいたり、
走って追いかけて来ることもあるので
これまたこどもたちは大パニック。
逃げても逃げても獅子舞がいるというわけです。
調べてみたところ、東日本と西日本では
獅子舞の系統が違うらしく、
西のものは伎楽(ぎがく)系といって
二人立ち獅子舞という舞があるのが特徴のよう。
確かに地元の祭りで見る獅子舞は二人立ちで、
体は大きくくねくねと動き、
ときに尻尾まで小刻みにフリフリとし、
低く四つ足で立っていたかと思えば
突如すくっと立ち上がって
巨大な背丈になる様がド迫力。
実は去年まではこんなに観察できなかったのですが、
今年、獅子舞を心から恐る長女を
叱咤激励しまくって祭りに連れて行き、
結果、獅子舞と2人で写真を撮れるまでになれた為、
地元の獅子舞をきちんと見ることができたのでした。
いやはや、汗だくでございました。
長女の怯えっぷりたるや相当なもので、
祭りに近づくにつれ瞳孔開きっぱなし、
半狂乱で泣き叫ぶほどでした。
が、途中でスナックのヤンキーおじさま店長の
ような方に「泣くなッ!」と突如怒らて、
その迫力に涙がピタリと止まり、
ん?もしかして怖いのは獅子舞じゃなくて
こういうおじさんかも!?とでも思ったのでしょうか、
そこからはだいぶ肝が座ったようでした。
獅子舞はおじさんやおにいさんが入っていること、
あなたが園の発表会で歌を歌ったり
踊りをしたりするように
おじさんやおにいさんも一生懸命練習したこと、
あなたたちが上手に踊ってパパやママをびっくり
させたり、喜ばせたりするのと同じように
獅子舞のおにいさんたちも
びっくりさせたり楽しませたりできるよう
練習して今日発表していることなどを説明。
そうしてだんだんと、獅子舞さんもどうやら私と一緒だ、
と共感していった様子でした。
最後には獅子舞がいる場所にちゃんと自らの意思で行き、
頭を噛まれる為に差し出し、
顔を近づけて写真撮影もし
(少々ひきつり気味ではありましたが)。
5歳の夏、ついに獅子舞と仲良くなるという
去年では想像もつかなかった
(我が家的に)偉業を成し遂げました。
お祭りってただ飲み食いして楽しい!だけではない、
神事であることを喚起させるこういう要素が、
素晴らしいとつくづく思います。
こどものときの恐怖体験。
おばけなどの見たこともないものへの恐怖じゃなくて、
遊園地のお化け屋敷でもなくて
「リアル恐怖体験」。
これは親が用意することはできないものだなぁ。
怖いものを知って育つことは
きっと豊かだと思います。
こどものうちはきっとわからないだろうけれど。
そして自分が今こどもだったら
チビっているだろうし、
こどもじゃなくてよかったと心から思うけれど…。
今、宮崎のメインのお祭りはというと
まだ新しく、伝統的な要素がほとんどない
ダンスイベント的なもののようですが、
日本中探してもここ宮崎にしかない、
そういうお祭りを皆が知って大切にして
育んでいくことはだいじなように思います。
起源を1700年代にもつ青森のねぶた祭り、
徳島の阿波踊りは400年の歴史。
宮崎にも本来ユニークな祭りが
それぞれの土地にたくさんあります。
そういうのが盛り上がっていくといいなぁ、
そういうお祭りが好きだなぁと思います。
宮崎の祭りはこちらから。
お祭りの帰り道、長女が
「わたしもおおきくなったら
ししまいになろうかなぁー」とつぶやいたのが
母的にグッときました。