娘が、お腹の赤ちゃんをそう呼ぶ。
一緒にお風呂に入ること。
家族が4名様になること。
ママがララちゃんをたくさん抱っこして、
自分はガラガラ(ベビーカー)に乗ること。
おもちゃで遊ぶこと。
いろんなことを空想しては、
「たのしみ〜♪」とニンマリしている。
でもその一方で、
え!? こんなことで泣く必要ないでしょ!?と
思ってしまうようなことで
大袈裟に泣いてみたり、
駄太をこねてみたり、
困らせてみたりすることがある。
年齢的なことなのか。
それとも徐々に膨らんでいく母のお腹を見て、
何か思うところがあるのか。
でも基本、彼女はララちゃんがすごく好き。
「ママ、ララちゃんに優しくしてあげてね」
とお布団の中でつぶやいてから
眠りについたこともあった。
そんな優しい娘とは正反対に、
残業無しとはいえフルタイム勤務と家事、
家作り、娘と3匹の猫との日々で
只でさえ慌ただしいのに、
パークという信じられないほどの
やんちゃというか野良マインドの仔猫が来たことで
私の眉間のシワはより一層深くなったように思う。
そして「こらーーーーっ!」
「も〜〜〜やだ〜〜〜〜!!!」と
わめくこともしばしば…。
いや、もしかしてパークが悪いわけじゃなくて、
もしパークが来ていなくても
同じように余裕がなくなっていたのかも
知れないのだけど、
とにかくバタバタに磨きがかかってしまった。
生傷も絶えない。
猫たちのごはんを用意していると
私の身体を木登りのように登ってきて、
手に持っている缶詰やらにかぶりつく。
他の猫のごはんもすべて横取りする。
先住猫たちも私も常に気が抜けなくて、
取るか取られるか、の勝負をしているかのよう。
ゴミ箱も漁る。
玄関から飛び出し
ベランダにも飛び出す。
噛む。
彼は毎日ごはんをあげようとも
たくさんの量をあげようとも
いつもいつも飢えているのだ。
野良がちっとも抜けない。
だから「パークを誰かもらってくれたなら…」
と思ってしまうことも実は数度あったのだけど、
それでもパークのことを結局のところ憎めない。
その理由を夫が
「パークは人間がものすごく好きだからね」
と言っていた。
そうそう、そこが憎めないポイント。
可愛いところ。
彼は人を全面的に信じている。
そんな日々ではありますが、
ふと「ララちゃん」と唱えてみる。
するとなんとなく気持ちが穏やかになる。
ララララララララ。
いい名前をつけてくれたなーと思う。
もしかして私がこう余裕がなくなることを
わかってて、見越していて、
娘はこの名前をつけてくれたのかも知れない。
ララちゃんはお腹のなかで
このドタバタ劇をどう聞いているんだろうか。
優しい言葉ばかりを届けられなくてごめん、
ララちゃん!