絵本を読むことは大切!と信じ込んでいたある日、
「こども達が行っている幼稚園は
絵本じゃなくておはなしを読んであげてる」と
友人が言うのを聞いて、
おぉ!そんな考えもあるのか!と
衝撃を受けたのは半年前のこと。
うちでも取り入れてみたいなぁと思っていたら、
たまたま園の放出品に
童心社の『おはなしだいすき』という
まさに読み語るための本があったので
いただいて帰ってくることにした。
数日前から2回ほど長女に読んでみる。
おやっ、ものすごく聞き入っている。
顔だって真剣そのものだし、
ときどき眉間にシワ寄せたりしながら
一語一句聞き逃すまいとし、
わからない単語が出てきたら
すぐに質問してくる。
「赤ちゃんに絵本はいらない。
いるのは両親の落ち着いた優しい声、小さな歌声、
小鳥の声や虫の声、普通の生活音、
そして静けさ。
所詮、絵本は「おはなし」のできない者の
ための方便に過ぎない。
おはなしができるなら、その方がずっと良い。」
すっかり忘れていたけれど
以前読んだ本には
このように書いてあったのだった。
うむ。
絵本もいいところがたくさんある。
おはなしにもいいところがたくさんある。
どちらもこどもの想像力や集中力や
ありとあらゆる可能性に向けて
生まれてきたものであるからして、
どちらも甲乙・善悪などつけがたい。
でも今夜読んだおはなしは
寝る前向けではなかったかも知れない。
『はなさかじいさん』を聞きながら
「となりのよくばりじいさん」があまりにもひどくて
長女は「いっけなーーーい!」を
繰り返していたっけ。
読み終わって明かりを消して
寝る前のちょっとしたおしゃべりタイムに
いろいろいろいろ話をして、最後は
「人間のことは誰が食べるの?」という
なんともいえない質問が投げかけられた。
はて……。
とっさに答えだけど、どうだったんだろう。
なんて答えたら、彼女は希望をもつだろうか。
どう答えたら、安心しただろうか。
そもそも安心させる必要があるんだろうか。
それにしても
私の、いい答えじゃなかったように思う。
明日はこどもがもっと笑顔で眠りにつける
おはなしを選ぼう。